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東京高等裁判所 昭和44年(ラ)299号 決定 1969年5月20日

抗告人 伊藤正之

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の趣旨は「原決定を取消す。本件競落はこれを許さぬ。」というのであり、その理由は「本件競売物件は田であるから、競売開始決定をする際に県知事の競売適格証明書を有する者に限り競売を許す旨を定めるときに該当すると思われるところ、不動産取引業者に競落許可があった。右は農地法三条等が改正されたとも聞いていないので競落人は競売適格証明書を必要とするのに、これがない。」というのである。

しかしながら本件記録によれば、原審裁判所は競売物件の登記簿上の表示にしたがい競売開始決定に際し「本件農地の競売は県知事の競売適格証明書を有する者に限りこれを許可する」旨を明示していたところ、同裁判所の評価命令にしたがい、その後に提出された鑑定評価書によれば、本件競売物件は登記簿上の地目は「田」となっているが、現況は「田」を埋立てて宅地となっていることが判明したので以後競売及競落期日公告においても現況宅地と目的物件を表示して手続を続行し遂に競落許可に至ったことが明らかである。したがって原審競売裁判所は現況にしたがい宅地として競落を許可したものであって、その措置は相当であり、抗告人主張の如き違法はない。そのほか記録を精査しても原決定に違法な点はみあたらない。

よって本件抗告を棄却することとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 長谷部茂吉 裁判官 鈴木信次郎 麻上正信)

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